チェックシート

チェックシート(Check sheet)

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1. チェックシートとは

チェックシートとは、「種類別にデータを取ったり、確認の抜けや落ちを無くすために、チェックするだけで簡単に結果がわかるように、あらかじめ確認しなければならない項目を様式化した表や図」をいいます。
チェックシートは、データや仕事の結果を簡単な記号で印をつける(マーキングする)だけで、データをまとめたり、仕事が抜けなく行われたかどうかを確認したりすることが出来る、大変便利な手法です。チェックシートは、目的にあったものを上手に用いて、他のQC7つ道具と併用して改善や管理に用いることが出来ます。

2. チェックシートの種類

チェックシートにはいろいろな種類がありますが、大きく、調査記録用と点検確認用の2種類に分けられます。

(1)調査記録用チェックシート

調査記録用というのは、データを簡単な記号でマーキングしてまとめることにより、現状を正しく把握するためのものです。現状把握のための、調査のためのチェックシートが記録用チェックシートです。

a. 不適合項目記録用チェックシート:
 どんな不具合項目が多いのかを調べるためのもの。

b. 不適合要因記録用チェックシート:
 不適合項目の発生状況を、設備別、原材料別などに層別したりして、不適合発生の要因をつかむためのもの。

c. 度数分布記録用チェックシート:
 データが、どのような分布状況なのか、分布の中心やデータのばらつき具合、規格値との関係などを知るためのもの。

d. 不適合位置記録用チェックシート:
 不適合の発生位置を、スケッチによりチェックし、不適合の発生個所を知るためのもの。

ここでは、a. 不適合項目記録用チェックシートの例として「塗装欠陥チェックシート」(表 1)を、d. 不適合位置記録用チェックシートの例として「回路基板の不適合発生位置記録チェックシート」(図2)を示します。

表 1 塗装欠陥チェックシート   出典:ORIGINAL

図 2 回路基板の不適合発生位置記録チェックシート  出典:Advanced Quality System Tools Boeing 1998年

(2)点検確認用チェックシート

点検したり、確認したりする項目をあらかじめ書き出しておき、これをチェックすることにより、点検漏れや確認の間違いを防止するためのチェックシートです。
ものづくりの職場でよく使われるのは、「日常点検表」と呼ばれる、設備の始動時などのチェックに用いられるシートではないかと思います。
ここでは、例としてチラー(冷却水発生設備)のチェックシートを示します(表 3)。

表 3 設備点検用チェックシートの例   すぐに使えるQC手法

3. チェックシートの特徴

チェックリストの運用は、極めてシンプルで、レ点や〇✖など簡単に記入できるようになっています。しかもチェックシート自体で、情報を漏れなく瞬時に判断でき、かつ整理が簡単にできます。
チェックシートの特徴を以下に示します。

(1)同じ基準で、様式に沿って、簡単で、誰でも使えてバラツキが無い。
(2)あらかじめ様式が定められているので、チェックの際に漏れが無い。
(3)チェックの仕方が、文章などを記述するのでは無く、〇✖など簡単である。
(4)チェックシートを見れば、全体の良い・悪いが一目でわかる。
(5)人間の思い違いや、ミスを未然に防いでくれる。
(6)記録として残せるので、履歴がわかる。

4. チェックシートの作り方

ここでは、ポンプの塗装場で、どのような塗装不良が多いかを調査するために作成したチェックシートを例にして、記録用チェックシートの作成手順について見ていきましょう。

[手順の概要]
手順1:チェックシートの目的と、取り上げるデータを決める。
手順2:分類項目を決める。
手順3:チェックシートの形式を決める。
手順4:データをマーキングする。
手順5:関連事項を記入する。

それでは、順番に見ていきましょう。

手順1:チェックシートの目的と、取り上げるデータを決める。

何のためにチェックシートを作るのかという目的と、そのためにはどんなデータを取ったらよいかを決めます。
この例では、ポンプの塗装時に、前処理が悪かったり、周りの雰囲気の問題で塗装欠陥が生じる場合がありどのような塗装欠陥がどれくらいの頻度で発生しているかを把握するために行いました。

手順2:分類項目を決める。

次に分類項目を決めます。何を調べたいかをあらかじめ整理しておきます。ここでは、塗装欠陥の種類が分類項目になります。

手順3:チェックシートの形式を決める。

マーキングして記録するための様式を決めます。ここでは縦に分類項目として塗装欠陥の種類を取ります。横には日付を取ります。記録用、点検確認用に関わらずこの形式がよく使われるようです。
チェックシートの様式は、今回例示した表形式ばかりでなく、図でも良いし、模型のような立体物でも構いません。大切なことは、対象とするデータを、どうすればわかりやすく簡単に表すことが出来るかが大切です(表 4)。

表 4 塗装欠陥チェックシートの様式  出典:ORIGINAL

手順4:データをマーキングする。

作業をすすめながら、不適合が発生したらデータを取ってチェックシートにマーキングしていきます。ここでは小さな棒を重ねて数を数える方法を取りました。このマークはタリーマーク(tally mark)といわれます(表 5)。

表 5 データをマーキングする  出典:ORIGINAL

手順5:関連事項を記入する。

全てのデータのマーキングが終わったら、データの取得期間や対象職場、作成者など、必要事項を記入して完成させます(表 6)。

表 6 塗装欠陥チェックシートの完成  出典:ORIGINAL

5. チェックシートの作り方のポイント

ここでは、チェックシートを作成する際に考慮しておかなければならないポイントについて述べます。

(1)目的にあったチェックシートを作成する。

これから作るチェックシートが何をねらいにして作成するのか、その目的を確認しておく必要があります。チェックシートを作る目的として、主に次の5つが考えられます。

a. 現状を正しくつかむため:
現状把握ということです。現状把握することにより、職場が抱える問題点が明確になります。その上で、改善するための取組みや、QCサークルで取り組むテーマを決めたり、正しい目標を設定するために行います。

b. 生データを整理するため:
生データというのは、測定して得られたままの何も加工していないデータのことをいいます。生データを目的に合わせて整理するために使われます。

c. 仕事を正しく管理するため:
仕事が標準作業から外れていないかを確認するために使われます。

d. 仕事の内容を細かく調べるため:
仕事の内容を細かく調べたり、いろいろなものの関係を調べたりするのに使われます。

e. 検査するため:
検査した結果をチェックシートにまとめ、それにより製品の合格・不合格を決定したり、品質のレベルをつかみます。

(2)分類項目は十分検討して決める。

データをマーキングする際、どの項目にマーキングしたらよいのか、迷うことが無いように、分類項目の内容は、すべてのデータを含んでいなければなりません。分類項目は、マーキングする順序や、工程の順序に並べると記入しやすく、記入ミスも少なくなります。

(3)マーキングの方法は、簡単なものに決めておく。

マーキングの方法は、出来るだけ簡単なものにするのが基本です。文字や数値を書き込むことは出来るだけ避けて、簡単にマーキングができるようにしておかなくてはなりません。
例えば、記号としては、レや○、✖、 などを用います。また日本でよく使われるものは ”正” の字です。
さらに、たくさんの種類のデータを1枚のチェックシートで表したい場合は、○、△、✖、□などの記号を使い分けしたり、色分けするなどの工夫をすると、データの具体的な内容まで簡単に表すことが出来ます。

(4)マーキングするだけで、データが整理できるように工夫する。

マーキングを進めるにつれて、データが自然に整理されて、そのままの形で役に立つような形にまとまるようにすることが、チェックシートを作る目的であることを忘れないでください。

(5)得られた結果に対してアクションを取る。

チェックシートはマーキングするだけですべてが終わるだけではありません。得られた結果をもとにして、色々な対策を実行しなくては意味がありません。

 

 

参考文献
すぐに使えるQC手法 - QC七つ道具で問題解決  日科技連出版社  1988年
Advanced Quality System Tools Boeing 1998年

引用図表
表 1 塗装欠陥チェックシート   出典:ORIGINAL
図 2 回路基板の不適合発生位置記録チェックシート  出典:Advanced Quality System Tools Boeing 1998年
表 3 設備点検用チェックシートの例   すぐに使えるQC手法
表 4 塗装欠陥チェックシートの様式  出典:ORIGINAL
表 5 データをマーキングする  出典:ORIGINAL
表 6 塗装欠陥チェックシートの完成  出典:ORIGINAL

ORG:2024/09/28