製品安全,環境配慮,製造物責任
目次
製品安全,環境配慮,製造物責任
(product safety, environmental consideration, product liability)
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製品安全,環境配慮,製造物責任
製品安全(product safety)
PLP(製造物責任予防:Product Liability Prevention)の観点からの製品安全対策。製造物責任の原因となる事故の発生そのものを未然に防止するための対策であり、よりよい安全な製品を作り込んでいく企業の活動。
環境配慮(environmental condition)
製品のライフサイクルを通して、環境へ及ぼす悪影響を極力低減する取組み。
製造物責任(product Liability)
製品の欠陥によって製品の使用者が生命・身体・財産などに損害を受けた場合に、製造側が民事的に負担しなければならない損害賠償責任のこと。略してPLと呼ばれます。
製品の製造業者や関係する企業は、消費者が安全に使⽤できる製品を提供すると共に、消費者が誤って使⽤しないよう表⽰や警告を⾏う必要があります。
品質を構成する要素として、顧客満足度とともに、重要視されるようになってきたものとして、製品が及ぼす社会的影響があります。製品のライフサイクル(生産 ⇒ 使用 ⇒ 廃棄)全般にわたって発生する品質問題を考えます。
それぞれの過程について
① 生産過程における品質問題
資源やエネルギーの使用、騒音・振動、工場廃棄物などが与える影響
② 製品使用段階での品質問題
使用中の変質、損傷や、安全性、人への危害、メンテナンスや保守サービスの問題
③ 使用後の品質問題
ライフサイクルを全うした後の、廃棄物として、公害や、環境保全、資源リサイクルなどの問題
このように、製品・サービスの提供時にも、企業の社会的責任という考え方が重視されます。
製品安全(product safety)
製品を、使用者が安全に安心して使用できることを第一に考える必要があります。このために、安全に関する法令規制要求事項が定められています。主なものとして、
・消費生活用製品安全法
・電気用品安全法
・ガス事業法
・液化石油ガスの安全の確保及び取引の適正化に関する法律
・家庭用品品質表示法
などがあげられます。
消費者に近い法律を何点かピックアップして概述しましょう。
(1)消費生活用製品安全法
消費生活用製品安全法は、昭和48年(1973年)に制定されました。
製品事故の報告及び公表に関する制度や、国による消費生活用製品の安全規則(PSCマーク制度)などが規定されています。
なお、PSCとは、”Product Safety of Consumer Products” を略したものです。
PSCマークには、特定製品6品目と、さらに安全性が強く求められる特別特定製品4品目があります(図1)。
特定製品には丸いPSCマーク、特別特定製品にはひし形のPSCマークが付けられます。
図1 PSCマーク 出典:経済産業省HP
特定製品とは、消費生活用製品の内、構造、材質や使用状況から判断して、一般消費者の生命または身体に対して危害を及ぼす恐れが多いと認められる製品です。例えば石油ストーブは使用方法を誤ったりすると火事ややけどの原因になるので対象製品となっています。
また、特別特定製品とは、特定製品の製造または輸入を行う者のうち、一般消費者の生命または身体に対して、特に危害の発生を防止するため必要な品質の確保が十分でない者がいると認められる製品です。例えば乳幼児用ベッドは損傷すれば、乳幼児の生命にかかわる可能性が大きいので、たとえ輸入品であっても厳密な安全性が求められますので、特別特定製品に指定されています。
(2)電気用品安全法
消費生活用製品安全法と似た法律として、電気用品安全法があります。電気用品安全法は、平成13年(2001年)4月に施行されました。消費生活用製品安全法と比較して新しい法律のように見えますが、電気用品の安全関係の法律であり、同じような目的の法律は大正5年からありました(電気用品試験規則)。
電気用品安全法は、日本で電気用品を取扱う事業者(製造または輸入を行う者)が、対象となる電化製品の製造や輸入をするため、国が法律で定めた基準に適合させたことを自らが証明するもので、法の基準に適合していればPSE認証(PSEマーク)を表示することができます。
PSEとは、”Product Safety Electrical Appliance and Materials” を略したものです。PSEマークは、政府や特定の検査機関から取得したり、許可を得るものではありません。あくまでも事業者が電気用品安全法で定められた義務を果たしていることを自らが証明するものです。電気用品による火事や感電、ケガなどの事故を未然に防ぐことが目的であり、海外の電気用品であっても、日本に輸入し、販売・使用を行う場合は、PSE認証を表示する必要があります。
現在、457品目が対象製品に指定されています。対象の電化製品は、「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」の2種類に分けられ、それぞれの安全性が技術基準に適合しているか否かを確認しなければなりません。
特定電気用品とは、電気用品の中でも特に安全確保の規制が必要とされるものであり、電流制限器、小形単相変圧器類、携帯発電機など116品目が対象になっています。
一方、特定電気用品以外の電気用品とは、特定電気用品ではありませんが、電気用品安全法の対象になっているものを指します。電線類、ヒューズ、配線器具、リチウムイオン蓄電池など341品目が対象になっています。
消費生活用品質安全法と同じように、PSE認証マークが定められています。特定電気用品は、ひし形のPSEマーク(PSEの文字がひし形に囲まれている)が表示されます。特定電気用品以外の電気用品には丸形のPSEマーク(PSEの文字が縁で囲まれている)が表示されます。
図2 PSEマーク
環境配慮(environmental condition)
「製品のライフサイクルを通して、環境へ及ぼす悪影響を極力低減する取組み。」をいいます。
また、環境への悪影響を抑える取組みを行って生産・開発された、環境に配慮した商品のことを「環境配慮型商品」、「エコ商品」といった言い方をすることがあります。
現在(2023年2月)までのところ、環境配慮商品に関して統一した規格・基準はありません。製造業者が、独自の基準で環境配慮商品として売り出しています。多くの場合は「環境ラベル」を表示することにより、環境配慮型の商品であることをしています。
環境ラベルとは、環境保全や環境負荷の低減に役立つ商品について、第三者機関の審査をクリアしたものにだけ表示を許されるマークのことです。「エコマーク」「グリーンマーク」「省エネラベル」などがあります。これらのマークは所定の審査・基準をクリアしないと表示することが許されないので、環境ラベルが表示されている商品は何らかの理由で環境に配慮した商品であることが認められているということになります。
製造物責任(Product Liability)
製造者は、製品の欠陥について責任を負わねばなりません。このことを製造物責任といいます。
製造物責任とは、提供した製品に欠陥があり、使用者がそれが原因で身体や財産に損害を受け、使用者と製造者との間に対立が生じた場合、損害賠償訴訟に発展してしまい、その問題を解決しなければなりませんが、原則として製造者側に負う責任があるというものです。
これを明文化したものが、製造物責任法(PL法)になります。日本では平成6年(1994年)に制定され、翌年から施行されました。
引用文献
品質管理技術の見える化トレーニングツール 福丸典芳 日科技連出版社 2009年
通商産業省HP:https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/act_outline.html
参考図表
図1 PSCマーク 出典:経済産業省HP
図2 PSEマーク ORIGINAL
ORG:2023/02/15