5M+1E

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0. はじめに

製造業、サービス業を問わず様々な現場において、品質管理は製品やサービスの信頼性を確保し、顧客満足度を高める上で不可欠な活動です。品質問題の発生は、コスト増加や納期遅延、そして企業のイメージ低下に直結するため、これを未然に防ぐための取組みが非常に重要視されています。
品質管理を効果的に行うための基本的なフレームワークとして特に製造業では、古くから「4M」が用いられてきました(別コンテンツを参照してください)。しかし、時代の変化や製造環境の複雑化に伴い、従来の4Mだけでは対応しきれない課題が増加しています。そこで、4Mを基盤としつつ、新たな要素を加えた「5M+1E」や「6M」といった考え方が登場し、品質管理の現場で広く浸透しています。
本コンテンツは、品質管理における基本である4Mに簡単に触れて、それを発展させた5M+1E、そしてさらに現場管理の観点を考慮した6Mについて、それぞれの要素が持つ意味や重要性、そして現場での活用方法を示します。5M+1Eや6Mの概念を理解し、適切に活用することで、より強固で安定したものづくりを実現できます。

 

1. 4Mとは?

「4M」とは、製造業の品質管理において、製品の品質に影響を与える主要な4つの要素を指す言葉です。それぞれの頭文字をとって4Mと呼ばれており、具体的には以下の要素から構成されます。品質の良い商品を製造するための、最も基本的な概念とされ、古くから提唱されています。
それぞれの内容の詳細は、5M+1Eの項で示します。
 ・ Man(人)
・ Machine (機械)
・ Material (材料)
・ Method (方法)

4Mは、品質管理、災害対策、安全性向上など、様々な場面で、問題発生時の原因究明や課題解決に活用されます。不適合品(不良品)が発生した原因を特定し、改善策を講じやすくするためにこれらの要素を管理します。意図的な変更であれ、意図しない変更であれ、4Mの変化を見逃さず社内で適切に管理し、共有する体制を整えることが重要です。
4Mを用いて不良品発生を予防するには、作業工程やデータを使った問題点の可視化を行う必要があります。この際、特性要因図やQC工程表といった手法が役立ちます。

 

2. 5M+1Eとは

品質管理の考え方は、時代の変化とともに変化してきました。従来の4Mでは不十分とされ、新しい要素が追加されるようになります。その最初のステップとして登場したのが「5M」です。「5M」は、従来の4Mに「Measurement(検査・測定)」の要素を加えたものです。Measurementは、作業員や機械による検査データを指す要素です。
さらに、製造時の温度や湿度などの作業環境が重要であると、認識されるようになりました。それが「Environment(環境)」です。
「5M+1E」とは、4Mの要素に「Measurement(測定)」と「Environment(環境)」の要素を追加したものです。現在では、4Mに代わって、5M+1Eが品質管理手法として広く認識されています。

(1)Man(人):

・製造に携わる作業員や管理者など、「人」に関する要素です。
・作業員のスキル、経験、教育状況、体調、意識などが品質に影響を与えます。
一定の品質を維持するためには、作業員のスキルを管理することが重要です。
各作業に必要なスキルを持つ作業員を適切に配置する必要があります。
・人の増減や欠員への対応も含まれます。
新しい作業員が追加された場合や、久しぶりに作業を行う場合なども、品質不良や事故が起きやすいタイミングとして注意が必要です。
・スキルマップの作成などにより、作業員のスキルを管理することが品質維持につながります。
動画マニュアルによる標準作業教育は、Method(方法)と連携してManの対策に効果的です。

(2)Machine(機械):

・製造に使用される設備や機械に関する要素です。
・機械の性能、設備の消耗やメンテナンス状況、更新計画、劣化、故障などが品質に影響を与えます。
・設備レイアウトを考慮した適切な機械の導入は、作業効率向上と品質安定につながります。
機械が正常に機能しているか、劣化や故障がないかなどを定期的に確認し、点検や保守管理を行うことが、長期的な生産の安定性を維持するために重要です。
・デジタル技術を導入することで、作業全体の流れがスムーズになり、品質維持に役立ちます。
新しい機械の導入は、人員不足解消の効果も期待できます。

(3)Material(材料):

・製品の製造に使用される原材料、部品、仕掛品など、「材料」に関する要素です。
・材料自体の品質、仕入先の選定、調達手段、保管方法などが品質に影響を与えます。
・原材料や部品、仕掛品の数を計測するセンシング技術は、在庫の見える化やリードタイム短縮に役立ちます。
在庫管理や発注の自動化をサポートするIoTデバイスも登場してきています。
・材料の品質が安定しない、または不良傾向が見られる仕入先からの調達はリスクとなります。
仕入先の選定時には、品質管理体制や供給の安定性、QCD(Quality, Cost, Delivery)のバランス、ISO9001などの品質マネジメントシステムの取得状況を考慮することが重要です。
・仕入れた材料や部品に対する受入検査を強化することで、不良品を早期に発見し、後工程への影響を最小限に抑えられます。古い材料を使用しないよう、先入先出を徹底することも基本です。
・見落としがちな変化点として、部品や材料そのものの品質変化、保存場所の状態変化、容器の変化(破損、変形、汚れ)、検査表の承認印のずれ、使用期限と納入日のずれなどがあります。
また、フラックス、溶接用ガス、接着用テープ、切削用潤滑油や洗浄液といった間接材料・副資材の変化も製品の仕上がりに影響します。
さらに、治具・工具・設備の破片、作業者の毛髪・皮膚・化粧品などが材料に混入することも問題を引き起こす可能性があります。

(4)Method(方法):

・製造における作業方法、製造方法、操作方法、作業手順、ルール、洗浄方法など、「方法」に関する要素です。
・最適な製造方法や標準化された作業手順が確立されているかが品質に影響します。
・作業方法の効率化や安全確保もMethodに含まれます。
・製造方法や操作方法など、作業方法やルールが変更されることがあります。
変更が発生した際は、関係者に変更点を正確に伝えることが、事故やミスを予防するために重要です。
・作業標準やマニュアルの作成は、変化点を見える化するための最初の活動であり、標準状態からの新たな改善を変化と捉え、標準化を更新し続けることが必要です。動画によるマニュアルは、標準作業の教育するために非常に効果的です。

品質管理の考え方は、時代の変化とともに進化してきました。従来の4Mでは不十分とされ、新しい要素が追加が提案されるようになりました。製造プロセスや製品のばらつきや出来栄えを追究する要素として、「Measurement(検査・測定)」の要素を加えました。もともと、「Measurement(検査・測定)」は4Mの要素であるMan(人)、Machine(機械)、Method(方法)に含まれるという考え方もありました。しかし、品質管理において検査・測定が持つ重要性が注目され、時代とともに独立した要素として扱われるようになりました。

(5)Measurement(検査・測定):

・製造プロセスや製品の「検査・測定」に関する要素です。
・計測ができていないと、規格に合った製品を作ることはできません。
分量が間違っていれば製造に失敗します。識別が不確実であれば不良品を見逃してしまいます。
・作業員や機械によって検査データにばらつきが生じる場合があり、それが製品の品質低下につながる可能性があります。
・正しい計測には、適切な技術や設備が必要です。
技術の向上、設備の更新、製造に適した検査方法の導入が望まれます。
・検査方法や合否の判断基準を標準化することが、製品の品質を統一するために重要です。
・検査には、工程内検査と最終検査(出荷前検査)があります。最終検査は不良品の流出を防ぐ手段ですが、不具合の原因自体をなくすことはできません。
そのため、工程内検査による品質改善活動が特に重要になります。工程内検査でデータのばらつきが製品品質に悪い影響を与える場合、工程内検査の方法や合否判断基準を標準化することが、製品品質を平準化するために重要です。
・測定機器の精度、測定条件、測定方法、測定者の能力によって、データにばらつきが発生します。
測定精度が悪い場合は、ゲージR&Rなどを使用して測定精度の解析を行い、ばらつきを少なくします。
また、合否の識別方法を標準化し、判定精度を管理することも重要です。

さらに、ものづくりの環境で、製造現場での作業環境が品質に与える影響について、考慮すべきとの考え方から4Mあるいは5Mに追加して、環境要因を含められるようになりました。

(6)Environment(環境):

・製造現場の作業環境に関する要素です。
・製造現場の温度、湿度、気圧、明るさなどが製品の品質に大きな影響を与える場合があります。
特に精密機器や医薬品などの製造では、気温や湿度、気圧、照度などの環境によって製品の質が大きく変わる可能性があり、一定の作業環境を維持することが重要です。
・その他、振動、音、光、時間、季節などが品質に影響を与える原因となり得ます。
例えば、製造中は空調で温度や湿度が管理されていても、定時後や週末に空調を切ることで、月曜日の製造品の不良率が高くなるようなケースが考えられます。
・製造現場の環境を適切に管理し、一定に保つ必要があります。
作業環境が変化した場合、環境を最適な状態に戻す方法や、その環境でも適切な製造方法を取れるような対応方法を決めておくことが重要です。
・職場改善活動である3S(整理、整頓、清掃)活動も、環境の標準状態を作ることで変化を発見しやすくなります。

5M+1Eの考え方は、品質不良の原因究明や変化点管理において特に有効です。特性要因図(魚の骨図)を作成する際に、大骨の要素として5M+1Eを用いることで、異常や不具合が発生する要因を網羅的に洗い出し、整理することができます。要因を5M+1Eの要素で分類することで、どこで問題が発生しているかをイメージしやすくなり、対処方法の検討が進めやすくなります。

労働災害の原因分析における4M(Man, Machine, Media, Management)も存在しますが、これは製造現場における生産要素を対象とする5M+1Eとは異なる概念です。
グローバル化が進み、国内生産の経験だけでは予測できない問題が増えてきた現代において、温度・湿度・空気質・振動・音・光といった環境要因の変化による製造工程への影響を考慮することは、より適正な品質管理のために不可欠となっています。

表 5M+1E(6M)の各要素と例示   出典:chatGPT

 

3. 変化する時代への対応:6M

品質管理の取組みは、時代の要請に応じてさらに進化します。近年、重要性が増している要素として「Management(マネジメント)」が挙げられます。これを5Mの要素に加えることで、6M、あるいは6M+1Eが、新たな品質管理のフレームワークとして認知されるようになりました。

◦ Management(マネジメント):
・製造プロセスや生産ライン全体の「マネジメント」に関する要素です。
・高度成長期の時代は、少品種の製品を大量生産することが主流でしたが、現在は顧客ニーズの多様化やデジタル化などの影響により、「多品種少量生産」が主流となっています。
ただ、多品種少量生産についても、効率化の面で改善の余地があり、DXの活用によりより効率化が求められています。
・多品種少量生産では、一つの生産ラインで複数の品種を製造することが増え、製造する製品は一日の稼働時間内に複数回変化することが普通です。このことから、Man, Machine, Material, Methodの4Mについても、ロットごとに変化することになります。
・このような状況下で、複数の製造ラインを把握し、どのラインで何をどれだけ生産するかを決定する、生産ライン全体を俯瞰したマネジメントの重要性が非常に高まります。
・迅速な計画の組立てや、ニーズに合わせて生産ラインを柔軟に切り替えるマネジメントが必要不可欠です。
・全体の管理ができていないと、一つの工程に変更点が生じた際に、全体の流れに与える影響を把握しづらくなります。
材料の仕入れから環境整備、製造、販売までの流れを整備し、全体をマネジメントすることが求められます。
・製造業では、扱う製品の種類や生産体制によって製造ラインや製造プロセスが複雑化するため、個別要素の最適化だけでなく、全体を管理し最適化する能力が重要となります。
製造ラインの構築や人員管理などが具体的なManagementの活動として挙げられます。中長期的な視野で、企業戦略の視点に立ったマネジメントを行うことが重要です。

6Mや6M+1Eについては、品質管理の重要な要素として定着し始めており、品質管理や製造プロセスにおいて、全体を見渡した包括的なアプローチをするために進化した概念です。

 

4. 4M,5M+1E,6Mの活用方法とその他の関連手法

4M、5M、5M+1E、6Mといったフレームワークは、品質管理、問題解決、プロセス改善など、様々な場面で有効に活用できます。ここでは、これらの概念を現場で活かすための具体的な方法や、関連する手法について触れていきます。

4.1 原因究明と問題解決

(1)特性要因図(魚の骨図、フィッシュボーンチャート):

結果(特性)と要因の関係性を魚の骨のような図で整理するQC手法です。解決したい課題を「特性」とし、その要因を「大骨」として書き出します。この大骨の部分に4Mや5M+1Eの要素を用いることが一般的です。そこから要因をさらに細分化(中骨、小骨、孫骨)していくことで、問題の根本原因を特定しやすくなります。不具合(不良)が発生する要因を考えるのに適した手法であり、要因を4M(5M+1E)で分析することで、どこで発生しているかがイメージしやすくなり、対処方法の検討が容易になります。

図 特性要因図   ORIGINAL

(2)なぜなぜ分析:

問題の原因を深く掘り下げるための手法です。トヨタ自動車では「5つのなぜ」として、なぜ?という質問を5回繰り返すことが推奨されていましたが、回数自体に意味はなく、根本原因を見つけるために繰り返し問うことが重要です。問題解決のプロセスにおいて、要因の解析を進める上で役立ちます。

(3)現地現物、三現主義及び5ゲン主義:

問題解決の心構えとしてまず、トヨタ生産方式の基本的な考え方として「現地現物」が、トヨタ創業者の豊田喜一郎の思いから生まれた理念が挙げられます。
また、ホンダの創業者、本田宗一郎氏が三現主義を提唱した、三現主義があります。三現主義とは、「現地」、「現物」、「現実」の3つの現を指します。現場に足を運び、現物を観察し、現実を正確に把握することで、正確な情報を得ます。三現主義は、ホンダが大切にしてきた品質管理上の理念で、ホンダのDNAとも言われています。
さらに、問題に対処するために必要な「原理」、「原則」を加えたものが5ゲン主義です。5ゲン主義は、現デンソーの事業部長を務められた古畑友三氏により提唱されました。5ゲン主義を徹底することで、より問題の本質に向き合えるようになります。
例えば、QCストーリーにおける現状把握のステップについても、現地現物、三現主義、5ゲン主義に基づいて不良発生状況を把握します。

 

4.2 変化点管理

(1)変化点管理の重要性:

生産活動では日々様々な変化が起きており、変化によって異常な状態に陥り、品質不具合につながることがあります。変化点管理は、意図しない変化によって生じる品質問題を未然に防止することを目的とします。意図的な変更(計画的変化点)と意図しない変化(突発的変化点)のどちらも管理対象となります。

(2)4M / 5M+1E / 6Mと変化点:

変化点管理において重要な要素が4Mであり、現在は5M+1Eの視点を考慮する方法が広まっています。生産に関与する状態を4Mや5M+1E視点で分析することで、変化点の発見に役立ちます。変更管理は、企業が目的をもって変化を発生させ、その変化を組織全体で定着させる活動であり、4M変更管理と呼ばれます。

(3)3Hとの組み合わせ:

4M×3Hという考え方で品質管理を効果的に行うことができます。3Hとは、「初めて (Hajimete)」、「変更 (Henkou)」、「久しぶり (Hisashiburi)」の3つのHを指します。これらのタイミングでは、品質不良や事故が起きやすいと考えられており、特に丁寧な管理が必要な変化点です。4M分析と合わせて3Hにおけるリスクを把握し、適切な対策を講じることが重要です。

(4)標準化と見える化:

変化点を見える化する最初の活動が標準化であり、作業標準やマニュアル作成が一般的です。3S活動も環境の標準状態を作ることで変化を発見しやすくします。設備状態を把握するゲージ、パトライト、各種メーター、チェック表、動画撮影なども有効なツールです。作業者の顔色や服装、作業結果の変化なども、朝礼などで直接確認することで変化に気づくことができます。

(5)情報の共有:

4M、5M+1E、6Mの変化・変更を社内に周知する体制を整えることが重要です。管理者から社員全体に変更点を伝えること(朝礼時や作業時など)は、事故やミスの予防対策として期待できます。全員で使える情報共有ツールとして、管理ボードなどを活用し、改善や増減産対応などの意図する変化に加えて、作業者が想像した不安要素も記載することが推奨されています。

 

4.3 データ分析と改善

(1)QC7つ道具:

品質管理におけるデータ管理・分析に役立つ統計的手法です。工程内で発生する不良や変動を見える化し、問題の発生要因を明確にするために使われます。QC7つ道具とは、パレート図、特性要因図、管理図、散布図+グラフ、ヒストグラム、チェックシート、層別があります。
これらのツールを適切に活用することで、データに基づいた改善活動を進められます。管理図は結果系の変化を発見するツールであり、数値の推移を観察することでさまざまな前兆をキャッチできます。ヒストグラムは加工精度のバラツキなどを視覚化し、形状の変化によって異常検知が可能になります。
QC7つ道具と共に、状況に応じて「新QC7つ道具」も活用することで、品質課題の見える化や対策検討を効果的に進められます。

(2)QC工程表:

原材料の出荷から、製造、管理項目、管理方法など、製造の品質管理に関する一連の流れをまとめた図表です。製造プロセス全体や管理方法、管理基準を把握しやすくし、効果的な品質管理を可能にします。QC工程表を中心とした作業工程の電子化は、変化の見える化に効果的です。

(3)継続的な改善:

一度策定したマニュアルはそのまま使用し続けるのではなく、都度改善点を反映させて改訂することで、品質の向上を目指せます。4M、5M+1E、6Mを継続的に管理することが重要であり、品質管理は継続的な改善の取り組みです。標準状態からの新たな改善を変化と捉え、標準化の更新を繰り返すことが必要です。

 

4.4 デジタル技術の活用

(1)IoTとセンシング技術:

現場のモノを、IoTで見える化し在庫管理や発注を自動化するソリューションは、リアルタイムで在庫数を把握し、リードタイム短縮や在庫圧縮に役立ちます。重量センサーを搭載したIoTデバイスは、原材料や部品、仕掛品の数を計測できます。機械に関わる部分のDX化を図ることは、スムーズな作業全体の流れを実現し、4M等を活用した品質維持に重要です。

(2)品質管理システム(QMS):

検査結果や製造データを効率的に収集・管理し、製品やサービスの品質を継続的に改善するシステムです。リアルタイムでの品質監視やデータの一元管理により、不良の予兆を素早く察知し、迅速な対応を可能にします。過去の不良履歴やトレーサビリティ情報を活用することで、品質向上だけでなく生産効率の最適化にもつながります。組織全体で品質を守る体制構築に役立ちます。

(3)システム連携:

自社システムや他社システムと連携を行い、在庫の管理効率の改善を実現できます。QC工程表を中心とした作業結果の電子化は、作業指示、品質基準、作業結果を一式として管理し、電子データで記録及びグラフ化することで、トレーサビリティと見える化の水準を高めます。変更管理業務を多種のタスクが結合するシステムとして捉え、情報をシームレスに接続する業務環境の構築が望まれます。デジタル技術やサービスをうまく活用することで、4M等による品質管理の効果を最大化できます。

 

5. まとめ:品質管理における4M、5M+1E、6M

本コンテンツは、品質管理の基本的な概念である4Mから、時代の変化と共に発展した5M+1E、6Mについて示しました。
・4Mは、品質管理の基本要素としてMan(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)を指します。品質問題の原因特定や改善、変更管理に不可欠なフレームワークです。

・5M+1Eは、4MにMeasurement(検査・測定)、及びEnvironment(環境)を加えたものです。
検査・測定の重要性が認識され、Measurement(検査・測定)を独立した要素として扱われるようになりました。工程内検査は品質改善において特に重要です。さらに、製造現場の温度や湿度といった環境要因が品質に与える影響を考慮するため、Environment(環境)を付加しました。
これらは、原因究明や変化点管理に広く活用されます。

・6Mは、5MにManagement(マネジメント)を加えたものです。多品種少量生産が主流となった現代において、生産ライン全体を俯瞰し、計画・管理するマネジメントの重要性が高まったことから生まれた概念です。
 また、6M+1Eも6Mと同様に、現在の製造現場ではよく使われる概念です。

これらのフレームワークは、それぞれ要素は異なりますが、製品の品質を維持し、向上させるという目的は共通しています。問題の原因を発見したり、問題が発生する前に対応策を用意したりするために活用されます。
品質管理は、4Mや5M+1E、6Mといった要素を見極め、改善ポイントを見つけることが重要です。自社の製造環境や課題に合わせて、適切なフレームワークを選択し、QC7つ道具や変化点管理(3Hを含む)、特性要因図、なぜなぜ分析、現地現物 / 三現主義 / 5ゲン主義、QMS、DX推進といった関連手法と組み合わせて活用することで、品質管理の効果を最大限に引き出し、企業全体の競争力強化につなげることができるでしょう。

品質管理は企業の信頼の根幹であり、事業や経済の発展にもつながる重要な活動です。

 

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参考文献
・4Mとは?製造業の品質管理に必須の4M分析・変更管理・5M+1E・6Mをわかりやすく解説 SmartMatCloud     https://www.smartmat.io/column/production_management/8077   確認;2025/05/30
・【事例あり】5M+Eから考える品質不良の原因と対策。万が一発生したときの対処手順も紹介  現場の人   
https://kaminashi.jp/media/poor-quality  確認;2025/05/30
・【初心者向け】5M1Eって何?を分かりやすく解説^^  ぱぱろぐ  https://sakumizu.com/easy-to-understand-5m1e-for-beginners/   確認;2025/05/30
・【分析例も紹介】「5M」とは?活用して製造現場を管理する方法  現場改善ラボ  https://www.tebiki.jp/genba/useful/5m/  確認;2025/05/30
・4Mとは?品質管理の手法や5M+1E・6Mとの違い、変更管理、分析方法を解説   Chatwork  https://go.chatwork.com/ja/column/efficient/efficient-565.html  確認;2025/05/30

引用図表
表 5M+1E(6M)の各要素と例示   出典:chatGPT
図 特性要因図   ORIGINAL

ORG:2025/05/31