4.3.5 チェックシート

4.3.5 チェックシート(check sheet)

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品質管理の基本は、”事実に基づいてデータでものをいう。”ことにあります。品質管理を進めるにあたっては、有効なデータを正しく、かつタイムリーに解析して、問題解決や日常管理、改善に活用していくことが大切です。

そのための、現場作業者が手軽に使うことが出来るのがチェックシートです。

 

1.チェックリストとは

チェックシートは、日常的に目的に合致したデータを簡単に記録出来て、取得したデータを整理しやすく、解釈がしやすい形で記録できるツールです。

チェックシートは、日常点検や不適合の発生、バラツキの状況、工程能力などを把握、解析して、日常管理や改善に活用できます。

 

2.チェックシートの種類

チェックシートは大きく分けて、次の2種類があります、

(1) 調査(記録)用チェックシート
(2) 点検(確認)用チェックシート

それぞれについて、考えてみましょう。

2.1 調査(記録)用チェックシート

調査(記録)用チェックシートは、データを採取する際にデータをいくつかの項目に分類してチェックできるようにした図表です。データの記録用紙として使用できるとともに、記録が済んだあとは整理されたデータを一覧することで、なのが問題でどの項目に問題が集中しているのかが一目で把握することが出来ます。
このタイプのチェックシートとしては以下のようなものが考えられます。

(1)不適合項目調査用チェックシート

どんな不適合項目が多いか調べるためのチェックシート

(2)不適合要因調査用チェックシート

不適合項目の発生状況を、設備ごとや材料別に層別して、不適合が発生する要因をつかむためのチェックシート


図4.3.5.1 塗装不具合チェックシート

(3)分布状況調査用チェックシート

データの分布状況や、分布の中心、データのばらつきの程度、規格値との関係を判断するためのチェックシート

(4)不適合位置調査用チェックシート

例えば製品の製作中に付いた傷などの位置をスケッチして記録し、不適合発生個所を知るためのチェックシート


図4.5.3.2(a) 回路基板不具合個所チェックシート_回路基板図


図4.5.3.2(b) 回路基板不具合個所チェックシート_欠陥位置指示図

これらの他、3ム(ムダ、ムラ、ムリ)調査用チェックシート、QCサークル発表データ評価用チェックシートなどがあります。

2.2点検(確認)用チェックシート

点検(確認)用チェックシートは、製品の検査や、設備の点検、安全、5Sなどの点検、検査の活動について、チェックする時期を日・週・月など定期的に、また定時・定間隔に行い、点検忘れを防止するために使用する確認すべき項目を列挙した図表をいいます。シートに示された項目を、すべてチェックすることで誤りや点検忘れを防止することが出来ます。

 

3.チェックリスト作成手順

(1)データを取る⽬的を明確にする

職場の関係者全員で、職場や仕事の問題点を具体的に把握して、目的を明確にしておきましょう。

例えば、加⼯不具合の発⽣状況を把握する、などのように何のためにチェックするのか、結果をどう活⽤するのか、どう管理すればよいかなど、明確にします。

(2)データの収集方法の検討

⽬的を達成するために、どのような情報を取得すればよいか、そのために何をチェックすべきかを検討します。今まで得た経験と知識を活⽤して、チェックすべき項⽬や収集方法をリストアップします。

そのための方法として、5W1Hでのチェックが有効です。
“What”:何を、どんな項目をチェックするのか考えます。
“When”:チェックする期間や日時、タイミングを検討します。
“Where”:どの職場や、どの設備、どの製品などチェックする対象を考えます。
“Who”:だれがチェックするのがを検討します。
“Why”:どういう目的でチェックシートを作るのか明確にします。
“How”:測定方法や、数値の単位、記録する際の方法などをどうするか検討します。
これらの観点から整理して、抜けや漏れを防ぐようにします。

例えば、「チェック期間は1か月毎日始業時に、A設備で、大川さんと角谷さんが、ノギスで測定する。」となります。

(3)フォーマットの設計・作成

必要な情報をできる限り、整理された状態で簡単に書き込めるようにしたチェックシートの様式(フォーマット)を設計し、使いやすさなどを検討しながらシートを作成します。

例えば、バリ取り工具のチェックシートの場合、縦軸にはバリ取り工具ごとのチェック内容、横軸は日付(1~31)を記入して、チェックするようにします。

(4)チェックシートの使用

実際に使用してみて、狙い通りの効果を期待できるか、使いやすいか、記録しやすいか、データの整理が適切にできるか、計算が必要なものは簡単に計算できるか、必要とする結果を得られるかなどを実際に使用してみて検討します。

(5)改善

使用した結果、分かった使い難い点を改善して、チェックシートを修正します。

 

4.チェックシートを作成するうえでの注意点

何よりも、大事なのは使いやすいチェックシートであることが最も重要なポイントです。

(1)チェック欄には空欄をつくらないようにします。チェックの必要のない項目(例えば、設備の日常点検シートで毎日チェックする必要のない項目については斜線を引いてチェックしていないことを示すようにします。

(2)チェックする方法は出来るだけ簡単なものにします。頻度の場合は”正”の文字や4本斜線に横棒をすることにより、5回の頻度を示すようにする方法や、程度により○,△,×などの記号を使うなど、簡単に表せるようにしてください。

なお、どのようなチェック記号を使うかも、作業者によってばらつきが出ないようにメモでもよいので文書の形で残しておいてください。チェックする人により差異が出ないようにしてください。

(3)チェックシートで管理幅が数値で示されている場合、その範囲に入っていれば○と記入するのではなく、数値を記録すべきです。そうすることにより管理幅の範囲でのばらつきが読み取れます。また、もし管理幅から外れる項目がある場合、調整を行った後の数値を記入しがちですが、なぜ外れているかを明確にしない限り再度起こる可能性があり、

記録を残さず修正してしまうと異常に気付かないままいつまでたっても改善できないことになります。チェックシートには、チェック時に読み取った数値を記入して、調整後の数値は備考欄などに記入すべきです。

 

5.チェックシートの活用

製造中や出荷品で異常が発見された場合、関連するデータを調べて影響する範囲を特定し、流出防⽌を図るために、チェックシートの記録に通常と異なるものが無いかを調べます。チェックシートで記録する項⽬に品質に影響するものがあれば、管理図や他の統計⼿法で確認することで、異常が発⽣した時の対応が迅速に出来ます。

 

 

 

参考文献
品質管理の演習問題と解説  仁科健編 日本規格協会
統計的な考え方「QC7つ道具:チェックシート」とは? _ 専門家のためのブログ集客
https://happymakeproject.com/6558/
QC7つ道具(その6)チェックシート ,monodukuri.com  https://www.monodukuri.com/gihou/article/675
Advanced Quality System Tools   1998  Boeing

 

引用図表
図4.3.5.1 塗装不具合チェックシート   ORG
図4.5.3.2(a) 回路基板不具合個所チェックシート_回路基板図   AQS Tools Boeing
図4.5.3.2(b) 回路基板不具合個所チェックシート_欠陥位置指示図   AQS Tools Boeing

 

ORG: 2019/8/12