4.3.7 層別

4.3.7 層別(stratification)

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1.層別とは

層別とは、「機械別や、原材料別、作業方法別、作業者別などのように、データの属性の共通点やクセ、特徴に着目して、対象となる特性を、同じ共通点や特徴を持ついくつかのグループに分けること。」をいいます。

 

2.層別のやり方

手順1 層別の目的を明確にする。
何のために層別するのか、その目的を明確にします。
そのためには、まず層別の対象となる特性値(データ)を何にするかを決める必要があります。
例えば、不良品数を対象とするのか、あるいは長さ、硬さ、含有成分量なのか、それとも作業時間や、工数、設備能力なのかといった事を決めます。

手順2 層別する項目を決める。
データを分類するための層別項目を決めます。
工場の直接部門や間接部門でよく用いられる項目を表6.3.7.1 に示します。これらをヒントにして層別する項目を決めましょう。大切なことは、特性値にばらつきを与える大きな要因に着目することです。

表6.3.7.1 層別対象項目の例    すぐに使えるQC手法

手順3 データを取る。
データを層別して収集します。
このとき、データは層別項目ごとに分類して取れるように、チェックシートなどを工夫しておくと便利です。
例えば、製品の流し方やサンプリング方法などの履歴を、作業日報などに記述できるように前もって様式を決めておけば、作業日報から管理項目に従ってデータを取得できます。

手順4 データを解析し、原因を追究する。
収集したデータを用いて各層別項目間の差異を解析します。
その解析のために、QC7つ道具の管理図や、ヒストグラム、パレート図などを用いて、検討の対象となる特性値について、層別項目間で比較します。層別項目間に差異が見つかれば、データにばらつきをもたらしたり、不良や欠点を発生させている要因を見つけ出して、対策に結び付けます。

 

3.層別により得られる情報

工程を解析する場合、技術的背景や経験をもとに考えて、様々な要因について層別して、QC7つ道具などのQC手法を用いてデータ間の違いを明らかにすることが大切です。
層別することにより、以下の情報が得られます。

① データ全体ではあいまいなことが、層別することによりそれぞれの層に属するデータの特徴がはっきりわかるようになります。

② 層間のデータの差異が明確になります。従って平均値の差や、ばらつきの違いが何によるものかがわかる、要因がつかめるようになります。

③ データから正確で有効な情報を得ることができます。

 

4.層別にあたっての注意事項

(1)データの性格や履歴を明確にする。
収集したデータについて、いろいろな層別ができるように、データの性格や履歴を残していくことが必要です。 そのためには、

 ① 5W1Hを明確にする。

 ② 製品は異なったものが混入しないように区別する。

 ③ データ収集の際、収集目的に合わせてチェックシートを設計して用いる。

 ④ 作業日報や、伝票、データ記録用紙などは、層別したデータが取れるように設計する。

 ⑤ 不良品や手直し品は、不良項目別に層別できるように、箱や棚などの置場を工夫する。

(2)いろいろな項目で層別してみる。
いろいろな項目で層別するために有効なのが、特性に対する要因を記述する、特性要因図の作成です。特性に大きな影響を及ぼしていると考えられる要因で層別してみて、もし層間に差異が認められなければ、要因を変えて層別をやり直してみます。

(3)層別で得られた情報をアクションに結びつける。
層別を行い、相関に違いがあることが判明しても、そのまま放置しておくのであれば、改善に結びつきません。
相関に違いがあることがわかったら、さらに追及して良い層はどれか、それぞれの層の平均、ばらつきは…などを深掘りして、改善されるようにアクションを取ることが需要です。

 

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参考文献
すぐに使えるQC手法    片山善三郎他   日科技連出版社
品質管理の基礎実務    武田正一郎   技術評論社
第3版 品質管理入門    石川馨   日科技連出版社

 

引用図表
表6.3.7.1 層別対象項目の例    すぐに使えるQC手法

 

ORG:2021/02/19