VE

VE（Value engineering）

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1.VEとは

“VE”とは、”Value Engineering” の頭文字をとったもので、日本語では価値工学といいます。“VE”とは、製品やサービスの「価値（Value）」を、それが果たすべき「機能（Function）」とそのためにかける「コスト（cost）」との関係で把握し、システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法と定義されます。

“VE”は、”VA”（value analysis）という名称で、1947年に米国GE社のL.D. マイルズ(Lawrence Delos Miles 1904-1985)氏により開発され、1960年ごろ日本に導入されました。
VEとVAとは、同じような意味を持ちますが、違いを区分すると、VEは製品の開発設計段階で行う手法、VAは既に存在する製品に対する手法と考えられます。

2. VEの定義

VEでは、次の3つの要素を考えます。
・製品や提供するサービスの”価値（Value）”
・その”機能（Function）”
・その”コスト（Cost）”

これら3要因の関係は、次式で表されます。

“価値”を向上させるのがVEの目的です。価値とは、機能がもたらす満足の度合いと、コストの妥当性の度合いを表しています。

価値を向上させるには分母であるコストを下げるか、分子である機能を上げるかによります。もちろんどちらかは同じでもう一方が改善される場合も価値は向上します。最も理想的なのは、機能を高めてコストを低減することです。一方、VEで実施してはいけないものは、機能は少し下がるが、コストを大幅に下げることにより機能を改善することです。機能を引き下げることは別製品・別サービスとして取り扱い、VEの範囲外とするのが通常です。

3. VEの5つの基本原則

製品やサービスの価値を追求して、優れたVEの成果を収めるためには、5つの基本原則を順守する必要があります。
（１）使用者優先の原則
（２）機能本位の原則
（３）創造による変更の原則
（４）チーム・デザインの原則
（５）価値向上の原則

4. VEの基本プロセス

新製品開発や製品改善・設計改善で用いられる、VEの基本プロセスは、「3つの基本ステップ」と、そこから展開する「10の詳細ステップ」、「それらに付随するVE質問」で構成されます。

図 VEの基本プロセス　　　参考：大分県企業局講習会資料

5. VEとリスクマネジメント

特に製造業では、”QCD”の”Q”と”C”とは、トレードオフの関係にあるといわれています。
VEの目的は、技術の代替案を探索して代替案を見つけることにより、”Q”は維持または向上させて、”C”を減少させる（コストダウン）ことですから、ほとんどの場合リスクが伴います。
「VEをした結果、クレームが増えてしまった。」となっては、元も⼦もありません。VEを行うことによるリスクをしっかりと予想して、あらかじめリスク対策を行うよう、リスクマネジメントを徹底することが重要です。“Q”と”C”とを、両⽴させる製品開発を実現していくことが重要な課題です。

参考資料：
新編現場のVEテキスト　　　石原勝吉　　日科技連出版社
品質月刊テキスト2013 No.398　「現場力を高めるQC用語」
大分県企業局講習会資料　https://www.pref.oita.jp/uploaded/life/115356_132680_misc.pdf H22年

ORG:2022/07/31