工程能力指数

工程能力指数(process capability index)

 

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本コンテンツは、QC検定を受けられる皆様の御参考になればと考え、作成したものです。このコンテンツは、管理人が自ら企業様に品質管理の知識をブラッシュアップしたいとのご要望があり、多くの皆様に講義した資料が基になっています。

[工程能力指数の計算と評価方法]

[工程能力指数の区間推定]

 

 

 

1. 工程能力とは

工程能力とは、工程が安定した状態に管理されている場合の、品質特性値(寸法、質量などの値)のばらつきの幅をいい、英語では、”process capability” といいます。
工程能力は、質的能力を示すもので、生産量を示す量的能力とは異なります。

製品の品質特性には、通常、適合・不適合を判定する規格限界が定められています。例えば、軸の全長が197mmから203mmの間に入っている場合に適合品とすると、これらの197mm~203mmの許容範囲が、規格限界になります。このとき、197mmを下側規格、203mmを上側規格といいます。通常、上側規格をSU、下側規格をSLで表します。
この規格限界は、下側と上側に設定される場合と、下側もしくは上側の片方にだけ設定される場合があります。前者を両側規格、後者を片側規格といいます。

 

2. 工程能力の図的表現

工程能力の推移を把握する方法として、次のようなものがあります。
・工程能力図
・管理図
・ヒストグラム

それぞれ、簡単に見ていきましょう。

2.1 工程能力図

工程能力図とは、品質特性値を時系列的にプロットしたグラフで、時間の移り変わりによる工程の変化を知りたいときに用いられます。

工程能力図の書き方は以下の手順によります。
[手順の概要]
手順 1:方眼紙など適当な用紙に、縦軸に測定値、横軸に測定順序(番号、時刻など)を取ります。
手順 2:測定値を測定した順にプロットする。
手順 3:規格がある場合は、規格値を示す直線を記入する。

例えば、軸径を測定した結果の工程能力図を例にします。
上限規格:SU=25.55mm、下限規格:SL=25.45mm の軸径寸法を個々に測定して、測定順に測定値を記入した図です(図1)。

図1 工程能力図の例

工程能力図を作成すると、直感的に測定値のばらつきや時間による変動が確認でき、工程の現状の状態を随時把握することができます。
図2に、さまざまな工程能力図の事例を示します。

図2 様々な工程能力図の例

2.2 管理図による表し方

工程能力は、管理図によっても表すことができます。
特にX管理図は、測定値がそのまま管理図にプロットされますので、X管理図に上限規格、下限規格の線を追加すれば工程能力も管理図で管理できることになります(図3)。
この図は、硫安中に含まれる窒素分の分析結果(%)を測定したデータに基づいています。各組の群のの大きさは n=3 で、群の数は k=30 で、合計90個のサンプルを測定しています(表4)。
なお、この場合の窒素分の規格値(%)は、
SU:上限規格=21.200%
SL:下限規格=21.000%
です。

図3 X管理図(上限・下限規格を追加)

 

表4 X管理図作成データ

2.3 ヒストグラム

表4 のデータを、級の幅を0.02 にして度数分布を取ると、表5 のようになります。

表5 度数分布表

この度数分布表から、ヒストグラムを作成してさらに上限規格値、下限規格値を記入したものが、図6 のようになります。このヒストグラムで、工程能力を図示することができます。

 

図6 ヒストグラム

この図からわかることは、規格値は測定値の分布に対して、下限規格側では余裕があるのに対して、上限規格側にはあまり余裕がないことがわかります。平均値の値が上限側にずれています。このことはX管理図でも同様のことを読み取ることができます。

 

3. 工程能力指数

3.1 工程能力指数の意味

工程能力を数値であらわすものが、工程能力指数と呼ばれるものです。記号はCpが使われます。文字で示して、PCI(Process capability index)と略称されることもあります。

工程が安定している場合、製品に関して測定された計量値データは正規分布に従うのが一般的です。正規分布に従うデータの場合、全体の99.7%が平均値を挟んで、±3シグマの範囲内に存在します。±3シグマの幅の広さは、6シグマになります。この幅と規格幅(SU-SL)とを比較することで、工程能力を評価する数値が工程能力指数になります。

ここでシグマは標準偏差のことですが、サンプルから求めるので記号としてはsを使用します。

3.2 工程能力指数の定義

工程能力指数を求めるには以下に示す値が必要になります。
 ・平均値:\( \bar{X} \) 
 ・標準偏差:s
 ・上限規格値:SU
 ・下限規格値:SL

これらの数値を用いて、規格の設定によりそれぞれ以下のように求められます。

(1)両側規格が設定されていて平均値に偏りが無い場合

   \( C_{ p } = \displaystyle\frac{ S_{ U } - S_{ L }}{ 6s } \)

(2)両側規格が設定されていて平均値に偏りがある場合
   平均値の偏りを考慮して、現在の工程を評価する値として、Cpkがあります。これはかたより度kを求めて、Cp値に補正をかけて求めます。

   かたより度: \( k = \displaystyle\frac{ | ( S_{ U } + S_{ L } )/2 – \bar{ X } | }{ ( S_{ U } – S_{ L } )/2 } \)           

として

   \( k \lt 1 \ ならば\ C_{ pk } = ( 1 – k ) \times C_{ p } \)

   \( k \geq 1 \ ならば\ C_{ pk } = 0 \)

Cpkについては、上で示される定義の他に次の式で計算される場合もあります。
こちらの定義の方が、計算は簡単かもしれません。結果はどちらでも同じ値になります。

   \( C_{ pk } = min \left( \displaystyle\frac{ S_{ U } – \bar{ X } }{ 3s } ,  \displaystyle\frac{ \bar{ X } – S_{ L } }{ 3s } \right) \) 

(3)上限規格が設定されている場合

   \( C_{ p } = \displaystyle\frac{ S_{ U } – \bar{ X }}{ 3s } \)        

(4)下限規格が設定されている場合

   \( C_{ p } = \displaystyle\frac{ \bar{ X } – S_{ L }}{ 3s } \)  

            

4. 工程能力指数の見方

工程能力指数Cpの値により工程能力が十分か不足しているかの目安が、表7 に示されます。一般にはCp≧1.33であれば、工程能力は十分といわれます。

表7 工程能力の目安

 

5. 工程能力指数と工程の特性値分布との関係

工程能力指数と工程特性値分布との関係は、おおよそ下図に示されるようになります。

図8 工程能力指数と工程特性値分布

 

6. 工程能力指数の区間推定(:QC検定2級範囲)

例えば、工程能力指数を計算する時、最低でもn=30くらいのデータを必要とします。
しかし、初期の開発段階では、データを収集するのに苦労することが多いものです。サンプル数が小さい場合、工程能力指数の信頼区間を求める事で解決します。
工程能力指数の信頼区間とは、工程能力指数のばらつきをいいます。計算式に基づいて算出すれば、工程能力指数の上限・下限が推定できます。サンプル数が30個未満の場合でも信頼区間の下限が1.33以上あれば、一応統計的には安心できることになります。
他でも記述していますが、信頼区間はサンプル数と信頼水準(通常は95%に取ります。有意水準α=0.05になります。)によって決まります。
推定の用いる分布形状は、Cp値がχ2分布、Cpkは標準正規分布を用います。

(1)Cpの信頼率 ( 1 – α )の信頼区間の区間推定

   上限:\( C_{ p(U) } = \hat{ C_{ p }}  \displaystyle\sqrt{ \frac{ \chi^2 (n – 1, \frac{ \alpha }{ 2 } ) }{ n – 1 }} \)
      
   下限:\( C_{ p(L) } = \hat{ C_{ p }}  \displaystyle\sqrt{ \frac{ \chi^2 (n – 1, 1 – \frac{ \alpha }{ 2 } ) }{ n – 1 }} \)
      

     ここで、※ \( \chi^2(n – 1, \frac{ \alpha }{ 2 })\ は自由度n-1\ の上限確率\ \frac{ \alpha }{ 2 }\ の\ \chi^2値を示す。 \)

            ※ \( \hat{ C_{ p }}\ は\ C_{ p }\ の点推定値 \)

   ちなみに、片側規格の場合は、

   \( \hat{ C_{ p }} \pm u( \alpha ) \displaystyle\sqrt{ \displaystyle\frac{ C_{ p }^2 }{ 2( n – 1 )} + \displaystyle\frac{ 1 }{ 9n }} \)

(2)Cpkの信頼率 ( 1 – α )の信頼区間の区間推定

   \( \hat{ C_{ pk }} \pm u( \alpha ) \displaystyle\sqrt{ \displaystyle\frac{ C_{ pk }^2 }{ 2( n – 1 )} + \displaystyle\frac{ 1 }{ 9n }} \)

     ここで、※ \( u( \alpha ) \)は、標準正規分布の両側 \( 100 \alpha % \)点を示す。

 

ここで、工程能力指数の考え方について、
① ⼯程能⼒指数は⼯程の安定性そのものを示してはいません。安定した領域での規格に対する余裕度をあらわします。安定性は前提であり、⼯程能⼒指数で安定性の評価は行いません。安定性は管理図でのデータのばらつきなどから判断します。
② 安定性が⼗分確認されていないプロセス⽴ち上げ時や新製品⽴ち上げ時、あるいはサンプル数が少ない時は、貴カウに対する余裕度を示すものとして、工程性能指数を用います。

これらのことに、留意する必要があります。

7. Cpm(機械能力の定義)

性能測定設備の安定性を評価する際、安定した設備とは、製品を繰返して測定した場合に、同じ値の特性値が得られる設備と考えられます。すなわち、 が小さいことが安定性の評価になります。これを機械能力と呼び、記号Cpmで表します。
Cpmの算出式は、

\( C_{ pm } = \displaystyle\frac{ S_{ U } - S_{ L }}{ 8 \sigma_{ m } } \)

     \( S_{ U } \):規格の上限
     \( S_{ L } \):規格の下限
     \( \sigma_{ m } \):繰返し測定でのばらつき 

であらわされます。

本式で、設備の安定性を判断する場合、

    \( C_{ pm } \geq 1.0 \):測定設備は安定している。
    \( C_{ pm } \lt 1.0 \):測定設備は安定している。

となります。

(この、Cpm については、いろいろな定義があるようです。何れ整理して改訂したいと考えています。)

 

8. 最後に

工程能力指数は、平均値が上限規格・下限規格の中央にある偏りのない場合のCpと、平均値が偏りのある場合のCpkがそれぞれ定義されていますが、実際のものづくりでは、平均値の位置に偏りがある方が普通ですので、実務上はCpkで評価することがほとんどです。

 

 

参考文献
すぐに使えるQC手法    日科技連
品質管理の基礎実務   技術評論社
QC検定2級品質管理の手法50   日科技連
よくわかる3級QC検定合格テキスト   向文社
性能測定設備の安定性評価  糸魚川 功他  富士通テン技報  Vol.6 No.2 (1988)

引用図表
図1 工程能力図の例
図2 様々な工程能力図の例
図3 X管理図(上限・下限規格を追加)
表4 X管理図作成データ:「品質管理の基礎実務」を参照させて頂きました。
表5 度数分布表
図6 ヒストグラム
表7 工程能力の目安
図8 工程能力指数と工程特性値分布

REV:2022/09/13
ORG: 2021/12/22