ヒストグラム

ヒストグラム(histogram)

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目次

1. ヒストグラムとは?

ヒストグラムはQC7つ道具の一つです。製品の製作時に取得したデータなどが、どのような分布をしているかを、棒グラフの形で見やすく整理した図です。その形が柱を並べたようにも見えるので、その形状から柱状図とも言います。

皆さんの中でも、ヒストグラムを実際に描かれたり、或いは見たことはあるよという方が居られるのではと思います。
皆さんは日頃より、優れた品質の製品を製作するために、日々努力されています。しかし、原材料のばらつきや、製作時の雰囲気(気温、加工油量など)のばらつきにより、どんなに自働化された工程でものづくりをしても、製作された製品の品質、難しい言葉で言えば「品質の特性値」には、ばらつきを生じます。

ものづくりの過程で、品質特性として得られる、例えば、長さや直径などの寸法や、時間、温度などの計量データは、製作条件、つまり要求された品質を得るために、図面の規格値や、運転条件などあらかじめ決められているものに対応する値の近傍が最も多く得られ、それを中心としてその値から離れるに従って、その割合が減少するのが普通です。このことを、「品質の集団が分布を持っている」といいます。

2. ヒストグラムの特徴

ヒストグラムを描くと、長さや質量などの計量値がどんな分布をしているか、全体の姿が一目で理解できるのが特徴です。
ものづくりの現場では、製品が規格寸法内に収まっていることは、当然の要求事項になります。そのためには、製品のばらつきがどれくらいの範囲に抑えられているかがポイントになります。
ヒストグラムは、その製品のばらつきや分布状態が、直感的に可視化できます。

ここで少し実際の例を考えてみましょう。

A:ハウジング加工の例

ハウジング加工を2台のマシニングセンタで加工する場合を考えます。
マシニングセンタ(MC)A では、全長は規格内におさまっています。平均値は規格の中心と比べるとやや右寄り(大きい側)です。
マシニングセンタBでは、平均値は規格の中心から大きく左側(小さい側)に寄っており、下側規格外れが発生しています。AとBとでは、ばらつきの違いはあまり無いようです。
マシニングセンタAのヒストグラムでは、規格外れは発生していません。

図 ハウジング加工の例

B:軸物加工の例

これは、NC旋盤で軸物を削って得られた直径寸法の例です。
NC旋盤Cでは、直径寸法は規格内に収まっています。また平均値は規格のほぼ中心になっています。
一方、NC旋盤Dでは、平均値はほぼ規格の中心ですが、ばらつきが大きく規格外れが上側・下側の両方にあります。

図 旋盤加工の例

3. ヒストグラムの作り方

ヒストグラムは、データが存在する範囲を、いくつかの区間に分割して、各区間に入るデータの出現度数(その区間内に入るデータの数)を数えて、度数表を作成します。これを棒グラフにして表したものがヒストグラムです。
エクセルでは、分析ツールの中にヒストグラムの項目があり、簡単にヒストグラムが作成できます。このコンテンツでは、QC検定対策用にヒスグラムの作り方を覚えて頂きたいので、分析ツールを使わないで電卓だけでヒストグラムを作ることができるように、手順を分解して示します。
[手順の概要]
手順1:データを収集する。
手順2:データの最大値と最小値とを求める。
手順3:区間の数を決める。
手順4:区間の幅を決める。
手順5:区間の境界値を決める。
手順6:区間の中心値を決める。
手順7:データの度数を数える。
手順8:ヒストグラムを作図する。
手順9:累必要事項を記入する。

それでは、順番に見ていきましょう。

手順1:データを収集する

ヒストグラムを作成する場合、データ数は50個から200個くらいが適当です。データ数が少ないと、集団としての性質を把握するのが難しくなります。一方多すぎると作成の手間が増えます(もちろん、エクセルなどの表計算シフトを用いれば作業は軽減されます)。

ここでは、リリーフ弁に使用するばねについて納入品からランダムに60個サンプリングして、ばね定数のばらつきをばね試験機で測定した結果を表に示します。

表 ばね定数の例題

 

手順2:データの最大値と最小値とを求める

エクセル関数の、MAX,MINにより、最大値と最小値とを求めます。
ここでは、MAX:22.33 N/mm,MIN:21.00 N/mm になります。

手順3:区間の数を決める

ヒストグラムの柱の数を区間の数といい、kで表します。kの値はデータ数の平方根を四捨五入して整数値に丸めた値にします。

k(区間の数)= √(データ数)= √(60)=7.75… → 8

ここでは、区間の数は、8 とします。ただし、手順4で計算する区間の幅により増減する場合があります。

手順4:区間の幅を決める

次に区間の幅hを決めます。区間の幅の求め方はデータの最大値から最小値を引いた値を、手順3 で求めた区間の数kで割ることにより求めます。得られた数値を、測定位置の刻みが測定単位の整数倍になるように四捨五入して丸めて区間の幅とします。
例題では、

h(区間の幅)= (最大値 – 最小値)/ 区間の数
       = (22.33 – 21.00)/ 8
       = 0.16625 → 0.20

のように、得られた0.16625に対して、測定値の刻み0.01 N/mm を考慮すると、0.15もしくは0.20 になります。ここでは0.20を区間の幅とします。

手順5:区間の境界値を決める

区間の境界値は、測定値の刻みの2分の1のところに来るように決めます。
まず、第1区間の下側境界値を求めます。
第1区間の下側境界値 = 測定データの最小値 – 測定値の刻み/2
           = 21.00 – 0.01/2
           = 20.995

次に第1区間の上側境界値を求めます。
第1区間の上側境界値 = 第1区間の下側境界値 + 区間の幅
           = 20.995 + 0.20
           = 21.195

になります。
以下、第2区間、第3区間とそれぞれ区間の幅を順次加えて求めたものを、表28 に示します。
手順3では区間の数をk=8 にするつもりでしたが、結果としてk=7 になりました。このように、区間の数は仮に決めた値より増減することがあります。

表 度数分布表

手順6:区間の中心値を決める

区間の中心値は、その区間の下側境界値と上側境界値の和を2で割って求めます。

区間の中心値 = (区間の下側境界値 + 区間の上側境界値)/ 2

第1区間の中心値は、
第1区間の中心値 = (20.995 + 21.195)/ 2
         = 21.095
となります。
以下、同様に中心値を計算したものも、表28 に示します。

手順7:データの度数を数える。

各区間に入るデータの度数を数えます。手動で数えるときは、データが度の区間に入るかを見ながら度数欄にマーキングしていきます。ここまで記入した表28 を度数分布表といいます。
全データについて、マーキングし終わったら、その合計がデータ数と合致することを確認します。

手順8:ヒストグラムを作図する。

グラフ用紙の横軸にデータの目盛り、縦軸には度数を目盛ります。できればヒストグラムはほぼ正方形になるようにすると、図が見やすくなります。
横軸の目盛の付け方は、区間の中心値を目盛る方法を用いています。なお、左縦軸と第1区間の下限境界値の間は少し開けておきます。
次に、度数を棒の高さで表します。規格値や目標値が与えられていれば、図に記入します。

図 ヒストグラム

手順9:必要事項を記入する

最後に、必要事項の記入です。図の余白に、データ数やデータの履歴(製品名、工程名、規格、データ採取期間、作成者名など)を記入します。

ヒストグラムの出来上がりの例を示します。

図 ヒストグラムの完成例

 

4. ヒストグラムの見方

前にも述べたように、ヒストグラムは、データが持つ集団としての情報を得るために作成します。ヒストグラムを見る場合、多少の凹凸は無視して全体の分布(形状)に着目します。見方のポイントは、図の形や分布状態、中心値の傾向、ばらつきの大きさ、規格公差に対する外れの有無などを見ます。

ヒストグラムにはいろいろな形があります。ここでは代表的な形のものについて説明します。

図 ヒストグラムのいろいろな形

(1)一般型

工程に異常が無く安定して入れば、計量値データでは一番普通に現れる形です。度数は中心付近で最も多く、中心から離れるに従って徐々に少なくなり、ほぼ左右対称になります。公差中央を狙って工作した場合によく見られます。

(2)歯抜け型、くし歯型

区間の一つおきに度数が増減し、歯抜けやくしの歯の形になっているのが特徴です。ヒストグラムがこのような分布になった場合、区間の幅が測定の刻みの整数倍になっているか、測定者の目盛の読みに誤りやクセが無いかを調べることが必要です。

(3)右スソ引き型

規格値などで下限が抑えられている場合や、理論的にある値以下にならない場合に、この分布を取ります。例えば、「不純物の成分が0%に近い。」や「不良品数や欠点数が0に近い。」場合などが該当します。また、機械部品で穴加工をする場合、削りすぎると不良になるので、公差の下限値を狙って加工する作業者が多く、その場合右スソ引き型分布になりやすくなります。

(4)左スソ引き型

右スソ引き型とは逆になります。規格値などで上限が抑えられている場合や、収率など理論的にもある値以上にはならない場合に、この分布を取ります。例えば、「純度が100%に近い。」や「歩留まりが100%に近い。」場合などが該当します。また、機械部品で丸棒を切削する場合、削りすぎると不良品になるので、公差の上限値を狙って加工する作業者が多く、その場合に左スソ引き型になりやすくなります。

(5)絶縁型

工程能力が不足しているのに、規格があるために全数検査をして不良品を除外している場合などによく現れる分布です。測定誤差や、測定値のごまかし、検査ミスなどが無いか確かめておく必要があります。

(6)ふた山型

平均値が異なる2つの分布が混じり合った場合に現れる分布です。例えば同一部品を2台の機械で加工する場合や、2種類の原料間に差異がある場合などに、それらのデータを一緒にしてヒストグラムを作成した場合によく現れます。
この場合は、元のデータを、機械ごとや原料別に層別して、別々のヒストグラムを作成すると良いです。

(7)高原型

平均値が少し異なるデータを一緒のヒストグラムにした場合によく現れる分布です。この形のヒストグラムが得られた場合、ふた山型と同様に、要因別に層別してヒストグラムを作り直すと問題点が見えてくることが多いです。
例えば、下図は高原型のヒストグラムの例です。詳細に見てみると、2台の機械で製造していることがわかりました。そこでそれぞれの機械に層別してみると平均値の値が異なる分布が重なってできる例です。

図 高原型ヒストグラムの層別

(8)離れ小島型

異なった分布のデータがわずかに混入した場合や、工程に突発的な異常が発生した場合などに現れる分布です。データの履歴を確認して、工程に異常が無かったかや、測定ミスはないか、他工程のデータが混入していないかなどを調べる必要があります。

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5. エクセルを用いたヒストグラムの作成

エクセルを用いてヒストグラムの作成を行います。
データは、表33に示す、リリーフ弁のばね60個のばね定数の測定データを用います。

表 ばね定数の例題 (再掲)

手順1:ばね定数を測定したものを、エクセルに入力する

分析ツールのヒストグラムを用いる際、データの範囲は連続している必要があるので、表からデータのみを抜き出します。

図 ばね定数データ

手順2:測定単位を求める。

本例では、データの測定は0.01 N/mm刻みにため、測定単位は0.01になります。

手順3:データの最大値・最小値を計算する。

最大値;MAX(データ範囲)=MAX(B5:E19) = 22.33
最小値;MIN(データ範囲) =MIN(B5:E19) = 21.00

手順4:仮の区間数を決める。

データ数の正の平方根を四捨五入したものを仮の区間数とします。
仮の区間数:ROUND(SQRT(データ数),0) = ROUND(SQRT(60),0) = 8

手順5:区間幅を求める

(最大値 - 最小値)÷ 仮の区間数 = (22.33 - 21.00)÷ 8 = 0.16625
測定単位は、0.01 N/mmなので、これの整数倍の区間幅は、0.17 となります。

手順6:第1区間の境界値を決める

区間の境界値は、測定値の刻みの2分の1のところに来るように決めます。
まず、第1区間の下側境界値を求めます。
第1区間の下側境界値 = 測定データの最小値 – 測定値の刻み/2
               = 21.00 – 0.01/2
               = 20.995

次に第1区間の上側境界値を求めます。
第1区間の上側境界値 = 第1区間の下側境界値 + 区間の幅
           = 20.995 + 0.17
           = 21.165

手順7:第1区間以降の各区間の境界値を計算する。

n番目の区間の下側境界値は、n-1番目の区間の上限境界値と等しくなります。

手順8:各区間の中心値を求める。

中心値 = (下側境界値 + 上側境界値)÷ 2
ここまで計算した結果を図34-B に示します。

図 計算結果

手順9:リボンの〔データ〕→〔データ分析〕→〔ヒストグラム〕を選択し、下記のように入力する

「入力範囲」、「データ区間」、「出力先」にそれぞれ該当するセルを参照します。
「出力オプション」の「グラフ作成」にチェックマークを入れます。

図 分析ツール

図 データ入力

手順10:棒グラフを選択→右クリック→〔データ系列の書式〕を選択

①〔系列のオプション〕を指定、〔要素の間隔〕を 「0%」 にします。
②〔塗りつぶし〕を選択し、「白」 にする( ただし、塗りつぶしと枠線の色指定は選択自由) 。
③〔枠線の色〕を選択し、「黒」にする。

図 データ系列の書式設定

手順11:「凡例」を選択して削除する

 

手順12:ラベルを修正する

「データ区間」→「ばね定数 (N/mm)」 「頻度」→「個数j
「ヒストグラム」→「弁用スプリングばね定数のヒストグラム」

図 ラベルを修正して完成

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参考文献
QC検定2級品質管理の手法   内田治  日科技連
よくわかる2級QC検定合格テキスト   福井清輔  弘文社
品質管理の基礎実務   武田正一郎  技術評論社
第3版 品質管理入門  石川馨 日科技連出版社 1989年
現場QC読本 管理図の作り方   川瀬卓他  日科技連

引用図表
図 旋盤加工の例
表 ばね定数の例題
表 度数分布表
図 ヒストグラム
図 ヒストグラムの完成例
図 ヒストグラムのいろいろな形
図 高原型ヒストグラムの層別
図 ばね定数データ
図 計算結果
図 分析ツール
図 データ入力
図 データ系列の書式設定
図 ラベルを修正して完成
図  X-Rs管理図の例 

ORG: 2025/11/29