Xbar-R管理図

Xbar-R管理図(Xbar-R control chart)
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目次
1. 計量値管理図とは
長さや質量、時間、硬さなどの特性は、連続的に変化するデータとして得られます。これらのデータは計量値(variable)といいます。
QC検定の出題レベル表では、計量値管理図として、\( \overline{ X } -R \) 管理図 および、\( \overline{ X } -s \)管理図、\( X – R_{ s } \)管理図、\( M_{ e } \)管理図 が示されています。
これらの管理図について概要を示します。
(1)\( \overline{ X } \)管理図:工程を品質特性値の平均値によって管理するときに用いる管理図。
(2)\( X \)管理図:工程を個々のデータ(測定値)によって管理するときに用いる管理図。
(3)\( M_{ e } \)管理図:工程を品質特性値のメディアンによって管理するときに用いる管理図。
(4)\( R \)管理図:工程のばらつきを、範囲R(群内の最大値と最小値との差)によって管理するときに
用いる管理図。
(5)\( s \)管理図:工程のばらつきを、標準偏差sによって管理するときに用いる管理図。サンプル数が
10以上で使われます。
(6)\( R_{ s } \)管理図:工程のばらつきを、移動範囲(一つ目の観測値と二つ目の観測値との差の絶対値)に
よって管理するときに用いる管理図。
となります。
これらのうち、よく使われるのは平均値(\( \overline{ X } \))と範囲(\( R \))とを組み合わせた、
です。このほか、測定できるデータ数が少ない場合は個々のデータ(\( X \))とその移動範囲(\( R_{ s } \))との組み合わせによる\( X – R_{ s } \)管理図がよく使われます。
本コンテンツでは、\( \overline{ X } – R \)管理図の作成手順を示します。
2. \( \overline{ X } – R \)管理図の作成手順
機械系製造業の現場でもっともよく使われているのが、\( \overline{ X } – R \)管理図です。
本コンテンツでは、\( \overline{ X } – R \)管理図の作り方を、ボルトの首下長さのばらつきを例として考えていきましょう。
[手順の概要]
手順 1:管理する特性を決める。
手順 2:データを収集する。
手順 3:データを層別する。
手順 4:データを群に分ける。
手順 5:データシートへ記入する。
手順 6:平均値 および、総平均 を計算する。
手順 7:範囲 および、範囲の平均値 を計算する。
手順 8:中心線、管理限界線を計算する。
手順 9:管理図様式を作成する。
手順10:特性値(データ)を記入する。
手順11:必要事項を記入する。
それでは、順番に見ていきましょう。
手順 1:管理する特性を決める。
ここでは例題として、六角ボルトの首下長さのばらつきを管理する特性として考えます。
手順 2:データを収集する。
データは一般的には100個以上集めます。管理限界線を引くのに使用します。できるだけ直近で履歴がはっきりしているデータを集めます。
手順 3:データを層別する。
収集したデータを測定時間順(例えば製造日ごと)、ロット順、できれば工程別に層別して並べます。
ここでは、毎時5個測定したボルトの首下長さを時系列に25組測定したデータ、合計125個のデータを収集します。
手順 4:データを群に分ける。
1) 群とは、収集したデータを測定時間ごととかロットごととかいう風に、あるまとまりで分けるときに、これらの分けられたひとまとまりのデータのことを言います。また、群に分けることを群分けと呼びます。また、群のことを管理図ではサンプル・試料(sample)とも言います。
この例題では毎時5個の測定データを一つの群とし、25組に群分けします。
一つの群に含まれるデータの数を群の大きさ、サンプルの大きさ(sample size)といい、通常nで表します。また、群分けしてできた群の数を、群の数、サンプル数(number of samples)といい、通常はkで表します。
2) 群への分け方(subgrouping)は、層別方法と同様に管理図を生かす重要な要因です。多くの場合、1日のデータ、1交代、1ロットごとのデータなど、群の中でばらつきが小さくなるように、群分けをするようにします。この例では1時間ごとに5個測定しているので、群はn=5になります。群の大きさnは、各群とも同じ大きさにするのが原則です。
群分けの際に、技術的に意味があるようにするのが原則ですが、意味付けが難しいと感じたら、単純に時間順、測定順で群分けしてもよいと考えます。実際には、技術的に考えながらいろいろと群分けを試みて、管理しやすいものを見つけるようにします。管理図は1回作ってしまえば終わりで、あとは数値を書き加えるだけではありません。工程の安定状態を監視できる群分けを常に考える必要がありますし、群分けを変更しなくても、管理限界は定期的に見直す必要があります。
3) 群の大きさnは、通常n=2~5 の範囲にとられます。
手順 5:データシートへ記入する。
データを、あらかじめ手順1 ~ 4 を考慮して作成したデータシートに記入します。データシートの様式はPC上でエクセルなどの表計算ソフトを用いてあらかじめ作成したものに記入するのが便利です。表に、ボルト首下長さの測定結果を毎時5個づつ25組測定した結果を記入したデータシートを示します。
例 ボルト首下長さの測定結果の入力(群分け済) 出典:ORIGINAL
手順 6:平均値\( \overline{ X } \)および、総平均\( \overline{ \overline{ X } } \)を計算する。
群ごとの平均値\( \overline{ X } \)を求めます。
\( \overline{ X } = \displaystyle\frac{ ( X_{ 1 } + X_{ 2 } + X_{ 3 } + … + X_{ n } )}{ n } \)
例えば第1群であれば
\( \overline{ X } = \displaystyle\frac{ ( 65.27 + 65.11 + 65.29 + 65.18 + 64.98 )}{ 5 } \)
\( = 65.166 \)
になります。
\( \overline{ X } \)の値は、測定値の読み(今の場合、少数位2桁)より1桁下まで求めるようにしてください。
続いて、平均値の平均値、総平均\( \overline{ \overline{ X } } \)を求めます。
\( \overline{ \overline{ X } } = \displaystyle\frac{ ( \overline{ X_{ 1 }} + \overline{ X_{ 2 }} + \overline{ X_{ 3 }} + … + \overline{ X_{ k }} )}{ k } \)
結果は測定値の読みの桁数から2桁下まで求めてください。本例では、
\( \sum_{i=1}^{ 25 } \overline{ X } = 1627.839 \)
\( \overline{ \overline{ X } } = 65.1135 \)
となります。
手順 7:範囲\( R \)および、範囲の平均値\( \overline{ R } \)を計算する。
群ごとに範囲\( R \)を求めます。 \( R \)は群内のばらつきを表しています。
例えば、第1の群では
\( R = 65.29 – 64.98 = 0.31 \)
になります。
続いて、範囲\( R \)の平均値\( \overline{ R } \)を求めます。
\( \overline{ R } = \displaystyle\frac{ ( R_{ 1 } + R_{ 2 } + R_{ 3 } + … + R_{ k } )}{ k } \)
結果は、測定値の桁数から1桁下まで求めてください。
本例では、
\( \sum_{i=1}^{ 25 } R = 8.82 \)
\( \overline{ R } = 0.353 \)
となります。
手順 8:中心線、管理限界線を計算する。
\( \overline{ X } \) ,\( \overline{ \overline{ X } } \) の値が求められたら、\( \overline{ X } \)管理図、\( R \)管理図、それぞれの中心線、管理限界を計算します。
(1)\( \overline{ X } \)管理図
中心線: \( CL = \overline{ \overline{ X } } \)
上部管理限界線: \( UCL = \overline{ \overline{ X } + A_{ 2 } \overline{ R }} \)
下部管理限界線: \( LCL = \overline{ \overline{ X } – A_{ 2 } \overline{ R }} \)
ここで、\( A_{ 2 } \)は群の大きさ\( n \)によって決まる係数です。
表に、\( A_{ 2 } \)の値を示します。
\( \overline{ X } \)管理図の中心線、管理限界線の値は、測定値の読みより2桁下まで求めます。
本例では、
\( CL = 65.1135 \)
\( UCL = 65.3172 \)
\( LCL = 64.9098 \)
表 \( \overline{ X } – R \)管理図の係数表
(2)\( R \)管理図
同様に、
\( R \)管理図の中心線と管理限界線を求めます。
中心線: \( CL = \overline{ R } \)
上部管理限界線: \( UCL = D_{ 4 } \overline{ R } \)
下部管理限界線: \( LCL = D_{ 3 } \overline{ R } \)
ただし、\( D_{ 3 } \)の値は\( n \)が6より小さいときはマイナスになるので、下部管理限界線は考えません。また、中心線、管理限界線の値は、測定値の読みより1桁下まで求めます。
本例では、
\( CL = 0.353 \)
\( UCL = 0.747 \)
手順 9:管理図様式を作成する。
管理図については、専用の様式を作成するのが望ましいですが、ここではグラフ用紙を作成する方法を記します。
まず、方眼紙を用意します。
・左側に\( \overline{ X } \)管理図と\( R \)管理図との目盛を別々に縦軸に取ります。\( \overline{ X } \)管理図は上方に、\( R \)管理図は下方に並べて書きます。
・下側に横軸を取ります。横軸には月日(および測定時間)や、群番号を記入します。
・目盛は、見やすさを考えて、適当な幅になるように取ってください。なお、中心線(\( CL \))は実線、
管理限界線(\( UCL,LCL \))は破線で横軸と平行に記入します。
・管理図をより使いやすくするために、中心線と上方(下方)管理限界線との間をそれぞれ3つの領域(1シグマに相当)に分割して、\( 1\sigma、2\sigma \)の位置に点線で横軸と平行に記入します。
手順10:特性値(データ)を記入する。
\( \overline{ X } 、R \)の値をプロットしていきます。本図の場合は、\( \overline{ X } \)は●点で、\( R \)は×印で順次プロットして、それぞれ実線でつなぎます。プロットした点が管理限界線の外に出た場合は、その点に〇印を加えて目立つようにしておきます。もし、管理限界線上にのる場合は、管理限界外に出ているものとみなします。
手順11:必要事項を記入する。
\( \overline{ X } \)管理図の左上に群の大きさ、\( n \)を記入します。本例の場合は\( n=5 \)と記入します。中心線、管理限界線にそれぞれの値を記入します。
そのほか、データの取得間隔、測定者、測定器具などの、工程管理に必要な事項を記入します(本例では省略)。図 に完成した管理図を示します。
図 \( \overline{ X } – R \)管理図の例 出典:ORIGINAL
3. \( \overline{ X } – R \)管理図の特性
\( \overline{ X } \)管理図にプロットされる点は群の平均値を表しています。群は工程で作り出される製品の品質を表す母集団から抜き取ったサンプルのことです。したがって\( \overline{ X } \)管理図は製品の品質特性の中心がどのように変化しているのかを表しています。
\( R \)管理図にプロットされる点は、群の最大値と最小値との差を表しています。すなわち群(サンプル)の範囲を表しています。したがって\( R \)をプロットすることにより、製品品質のばらつきがどのように変化しているのかを知ることができます。\( R \)管理図が異常を示した場合は、品質のばらつきが異常に大きくなったことを示します。
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参考文献
QC検定2級品質管理の手法 内田治 日科技連
よくわかる2級QC検定合格テキスト 福井清輔 弘文社
品質管理の基礎実務 武田正一郎 技術評論社
すぐに使えるQC手法 片山善三郎他 日科技連
現場QC読本 管理図の作り方 川瀬卓他 日科技連
JIS Z9020-2:2016 シューハート管理図
引用図表
表 ボルト首下長さの測定結果の入力(群分け済) 出典:ORIGINAL
表 Xbar-R管理図の係数表
図 Xbar-R管理図の例
ORG: 2025/11/24


